本番移行と切り戻し|リハーサル・判断期限・データ整合性
本番移行は、データや設定を新環境へ移すだけではありません。サービス停止時間、業務確認、移行後の更新、監視、切り戻しまで含めて計画します。担当者が手順を知っていても、判断基準と期限が曖昧なら予定時間を超えるおそれがあります。
切り戻しは「問題が起きたら旧環境へ戻す」という一行では不十分です。誰が何を根拠に判断し、どの時点まで戻せるか、戻した後にデータをどう整合させるかを事前に決めます。
本文の演習は学習用のオリジナル事例です。解答例の表現は一例で、公式問題の解答・配点ではありません。
1. 移行計画に入れる条件
項目 | 決める内容 | 確認点 |
|---|---|---|
前提と開始条件 | 承認、バックアップ、環境、要員 | 未達の条件を把握する |
手順と依存関係 | 停止、移行、検証、業務再開 | 担当と所要時間を明記する |
移行後の確認 | 件数・金額・業務処理・性能・監視 | 重要データは内容の整合も確認 |
切り戻し | 判断者、基準、判断期限、復旧手順 | 再開後の更新データも扱う |
リハーサルは本番に近いデータ量・環境・権限で行い、所要時間と問題を記録します。件数が一致しても、金額や参照関係、文字コードが誤っている可能性があるため、業務上の確認条件を含めます。
2. 判断期限は、残る復旧時間から決める
業務再開期限から、切り戻しと旧環境の業務確認に必要な時間を差し引き、判断期限を設定します。修正を続ければ直るかもしれない、という期待だけで期限を超えないようにします。
例えば7時再開が必要で、切り戻しに90分、復旧後の業務確認に30分必要なら、他の余裕を含めない単純計算では5時が判断期限です。実際は判断・連絡時間や変動への余裕も確保します。
新環境で業務を再開した後は、新たな注文や決済が発生します。旧環境へ戻す場合の差分回収、二重処理防止、再同期方法を決めます。不可逆の変換や外部連携がある場合、同じ切り戻し手順を使えるとは限りません。
演習1:切り戻し判断の期限
条件:業務再開は7時。切り戻しに90分、旧環境での業務確認に30分必要で、他の作業時間・余裕は考慮しない。
問い:切り戻し判断の最終時刻を答えよ。(20字以内)
解答例:午前5時。(5字)
根拠:7時から90分と30分を差し引きます。実運用では判断・連絡と安全余裕を別に見込みます。
確認ポイント:切り戻し自体の完了時刻を判断期限と取り違えないようにします。
演習2:再開後の切り戻し
条件:新環境で注文受付を再開した後、重大障害で旧環境へ戻すことになった。
問い:データについて事前に定めるべき対策を述べよ。(40字以内)
解答例:再開後の注文差分を回収し、二重登録を防いで旧環境へ反映する。(30字)
根拠:切り戻し前の新規データを失わず、処理の重複も防ぐ必要があります。
確認ポイント:移行前のバックアップを戻すだけでは、再開後の注文が欠落するおそれがあります。
3. 移行前に確認すること
本番に近い条件で手順と時間を検証したか。
判断者と切り戻し基準・期限を合意したか。
再開後の差分と不可逆な処理を考慮したか。
運用・業務部門の確認と連絡を計画したか。
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