スコープ管理と変更管理|要件の曖昧さ・追加要求への対応
スコープ管理では、成果物と必要な作業を明確にし、関係者が同じ完了条件を使えるようにします。追加要求をすべて拒否するのではなく、影響を評価して承認された変更を計画へ反映します。
記述問題では、口頭依頼で追加した機能、合意されていない価格計算ルール、固定された稼働日などを確認します。曖昧な要件と正式な変更要求を区別し、納期・費用・品質・事業目的の関係を説明できるようにしましょう。
本文の演習は学習用のオリジナル事例です。解答例の表現は一例で、公式問題の解答・配点ではありません。
1. 要件から受入基準までをつなぐ
資料・仕組み | 役割 | 注意する点 |
|---|---|---|
WBSとWBS辞書 | 成果物・作業・完了条件を整理 | 漏れと重複を確認する |
要件の追跡表 | 目的、要件、設計、テストの関係を追跡 | 一対一に限らず、一対多・多対多もある |
変更管理 | 要求の登録、影響分析、権限者の判断 | CCBの設置や承認権限は組織による |
優先順位付け | 必要性と期限を踏まえて範囲を調整 | 法令・安全などの必須条件を外さない |
「使いやすい」「簡単に再発注できる」だけでは合否を決められません。対象データ、計算条件、例外、性能や操作の条件を具体化し、業務側と確認します。未確定事項は担当者と決定期限を置いて管理します。
2. 変更の採否は、影響と選択肢を比較して決める
変更要求を記録し、設計、テスト、費用、依存作業、運用への影響を見積もります。承認前に現場の判断で実装すると、費用だけでなく追跡表や受入条件がずれるおそれがあります。
納期を動かせない場合は、非必須機能の後続リリース、実現方法の簡素化、資源追加などを比較します。追加要員は習熟・調整の負担があり、必ず期間を短縮できるとは限りません。権限者の判断と関係者への通知までを計画に含めます。
承認した変更は、ベースライン、WBS、工程表、契約、テストに必要な範囲で反映します。要求を受け入れたという議事録だけで、関係する計画を更新しない運用では混乱が残ります。
演習1:価格条件を明確にする
条件:再発注機能の概要だけを合意した。営業は過去の値引きを引き継ぐと考え、開発側は現行価格を使うと考えていた。
問い:要件定義で明記すべき事項を述べよ。(35字以内)
解答例:再発注時の価格・値引きの適用条件と受入基準。(22字)
根拠:機能があるかだけでなく、どの条件で価格が決まるかを合意する必要があります。
確認ポイント:「営業と会議する」だけでは、明記する内容が特定できません。
演習2:固定納期の範囲調整
条件:必須の計算機能を追加すると2週間延びる。稼働日は法改正対応のため変更できず、非必須機能は後続リリースが可能である。
問い:スコープ調整の案を述べよ。(40字以内)
解答例:非必須機能を後続リリースへ移し、必須機能を期限内に実装する。(30字)
根拠:追加機能の受け入れと納期維持を両立するため、依存関係と品質への影響も確認して合意します。
確認ポイント:すべての機能を一律に削ると、法令対応などの必要条件を満たせません。
3. 答案で確かめること
対象の要件と受入条件が具体的か。
変更の影響を誰が評価し、誰が承認するか。
固定条件と変更できる条件を区別したか。
承認後の計画と関係者への通知まで考えたか。
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