プロジェクトリスク管理|定性・定量分析と対応の副作用
プロジェクトリスクは、まだ起きていない不確かな事象が、目標へ与える影響を扱います。既に起きた問題は課題として対処しつつ、今後の影響や再発の不確かさをリスクとして管理します。
確率と影響で優先順位を付け、必要なら損失額や工程への影響を定量的に検討します。対応を実施した後も、残留リスクと、対応によって生じる二次リスクを確認します。
本文の演習は学習用のオリジナル事例です。解答例の表現は一例で、公式問題の解答・配点ではありません。
1. 分析と対応を分ける
項目 | 目的 | 注意点 |
|---|---|---|
リスクの特定 | 原因・事象・目標への影響を整理 | 単なる「遅延」の一覧にしない |
定性分析 | 確率と影響などで優先順位を付ける | 尺度と評価基準を合意する |
定量分析 | 費用・工程への影響を数量で検討 | 入力データと前提の妥当性を確認する |
対応計画 | 回避・低減・移転・受容などを検討 | 責任者、期限、発動条件を決める |
脅威だけでなく、機会をどう生かすかもリスクマネジメントの対象です。確率と影響の積で順位を付ける場合、その点数が損失の金額や正確な発生確率を示すわけではありません。
2. EMVと、対応後の確認
EMV(期待金額価値)は、起こり得る結果の金額と確率を掛けて合計します。損失を正の金額として示す場合は期待損失、利益を正・損失を負として示す場合は符号をそろえた期待値になります。前提と単位を明記しましょう。
例えば損失1000万円の発生確率が20%なら、期待損失は200万円です。必ず200万円を支払うという意味ではなく、20%を正確に予測できるという保証でもありません。単一プロジェクトでは、重大損失への耐性も判断材料になります。
増員や並行化で遅延を減らしても、習熟負担、調整不足、品質低下が生じる可能性があります。これらの二次リスクと対応後に残るリスクを評価し、監視指標・責任者・発動条件を更新します。保険や外注で全責任が移るわけでもありません。
演習1:期待損失の比較
条件:遅延の発生確率は20%、発生時の損失は1000万円。対策費は80万円で、対策後は確率が5%となり、損失額は変わらないと仮定する。
問い:対策費を含む期待負担と、対策前との差を答えよ。(40字以内)
解答例:対策後は130万円で、対策前の200万円より70万円少ない。(30字)
根拠:対策前は0.2×1000=200万円。対策後は80+0.05×1000=130万円です。入力の確率と損失、他のリスクが妥当という前提で比較します。
確認ポイント:期待値だけで必ずこの金額が発生すると説明せず、重大損失や対応能力も評価します。
演習2:対応で生じたリスク
条件:遅延回復のため外部要員を増やした結果、設計方針の共有不足で不具合が増える可能性が生じた。
問い:このリスクの呼び方と対応を述べよ。(40字以内)
解答例:二次リスクとして評価し、設計方針の共有とレビューを計画する。(30字)
根拠:対策によって新たに生じた不確かさは二次リスクです。既存のリスクが残る残留リスクと区別します。
確認ポイント:増員をしたという事実だけでリスク対応が完了したとは考えません。
3. 記述で確認する点
原因・不確かな事象・目標への影響がつながっているか。
分析の尺度、金額の符号と前提が明確か。
対策の担当者・期限・発動条件を決めたか。
残留リスクと二次リスクを監視するか。
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