ITパスポートの会計計算|損益分岐点・ROI・ROEの解き方
会計の計算問題でつまずいたら、公式を増やす前に「何を求めるか」「どの数値を使うか」を確認しましょう。損益分岐点と収益性の指標を、短い例題で練習します。
計算問題の出題が3種類だけに限られるわけではありません。ここでは基本となるBEP・ROI・ROE・ROAを整理し、過去問の解説を読んだ後に、自分で同じ手順をたどれるようにします。
1. 財務諸表の基本:貸借対照表(B/S)と損益計算書(P/L)
財務諸表 | 英語略称 | 役割と内容 | 例え |
|---|---|---|---|
貸借対照表 | B/S (Balance Sheet) | ある一時点における企業の「財政状態(資産・負債・純資産)」を示す | 企業の「健康診断書(スナップショット)」 |
損益計算書 | P/L (Profit and Loss Statement) | ある一定期間(1年間等)における企業の「経営成績(収益・費用・利益)」を示す | 企業の「通信簿(1年間の成績)」 |
貸借対照表の基本式は「資産=負債+純資産」です。純資産と自己資本が完全には一致しない場合もあります。損益計算書では「収益−費用=利益」を確認し、売上総利益・営業利益・当期純利益などを区別します。
2. 損益分岐点売上高(BEP)の完全攻略
損益分岐点(Break-Even Point)とは、「利益も損失もゼロ(売上高 = 総費用)となる売上高」のことです。これを超えれば黒字、下回れば赤字になります。
費用の分類 | 定義と具体例 | 売上との関係 |
|---|---|---|
固定費 (Fixed Cost) | 売上の増減に関わらず一定して発生する費用(家賃、社員の固定給、減価償却費) | 売上が0でも必ず発生する |
変動費 (Variable Cost) | 売上の増減に比例して増減する費用(仕入原価、原材料費、販売手数料) | 売上が増えるほど増える |
【重要公式】:
3. 投資・収益性指標:ROI・ROE・ROAの比較
指標 | 名称 | 基本的な計算の考え方 | 設問で確認すること |
|---|---|---|---|
ROI | 投資利益率 | 投資による利益÷投資額×100 | 利益の定義、対象期間、投資額を差し引くかを確認する |
ROE | 自己資本利益率 | 当期純利益÷自己資本×100 | 分母となる自己資本の数値を確認する |
ROA | 総資産利益率 | 設問で指定された利益÷総資産×100 | 当期純利益・営業利益など、分子の定義を確認する |
4. 【実戦演習 問1】損益分岐点売上高の計算
【問題】ある店舗の月間売上高が1,000万円、変動費が600万円、固定費が200万円であるとき、この店舗の損益分岐点売上高は何万円か。
ア:400万円
イ:500万円
ウ:600万円
エ:800万円
【正解】イ
解説
ステップ1(変動費率の計算):変動費率 = 変動費 ÷ 売上高 = 600万円 ÷ 1,000万円 = 0.6(60%)
ステップ2(限界利益率の計算):限界利益率 = 1 − 変動費率 = 1 − 0.6 = 0.4(40%)
ステップ3(損益分岐点売上高の計算):損益分岐点売上高 = 固定費 ÷ 限界利益率 = 200万円 ÷ 0.4 = 500万円
したがって、正解は「イ」の500万円です。
5. 【実戦演習 問2】IT投資のROI計算
【問題】初期投資500万円の業務自動化ツールを導入し、年間200万円のコスト削減を3年間見込む。運用・保守などの追加費用はなく、ROIを「(3年間のコスト削減総額−初期投資額)÷初期投資額×100」と定義する。このROIは何%か。
ア:10%
イ:20%
ウ:40%
エ:120%
【正解】イ
解説
3年間の削減総額:200万円×3年=600万円。
この設問での投資利益:600万円−500万円=100万円。
ROI:100万円÷500万円×100=20%。正解はイ。
600÷500×100=120%は、削減総額を投資額で割った値です。この設問のROIの定義とは異なります。計算方法は必ず問題文に従ってください。
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